2025/11/10

シーフードマイスター講師・太田雅士の豆知識 vol.5『まぐろ』トロへのあこがれから養殖マグロや天然マグロ、珍しい部位まで

「マグロのトロへのあこがれ」

私が小学生のころは回転寿司など影も形もなく、大好きなお寿司屋さんに連れて行ってもらうことなど年に1度あればよい方でした。
喜んで店に入ると… おしながきには【トロ・時価】とあり、いくらするのかわからないので子ども心に怖くて注文することができなかったのです。
トロ、ウニ、アワビは上ネタの御三家。子どもが食べるものではなかったのです。
あこがれの大トロ!!

「マグロ養殖の苦労」

近畿大学が和歌山県串本市でマグロ養殖の研究を開始したのは1970年。活きたヨコワ(マグロの幼魚)を手に入れて飼育するところから始まりました。
“先生そんなん無理無理”、ヨコワを提供する漁師さんも高速で泳ぐマグロが養殖できるなんて信じる人は誰一人いませんでした。
(ヨコワを大きく育てるのは至難の業なのです)

「完全養殖が実現」

完全養殖とは人工ふ化させたクロマグロ稚魚を親魚まで育て、その親が産んだ卵から再び成魚まで育てる養殖法です。近畿大学は苦労に苦労を重ね2002年に見事クロマグロの完全養殖を実現。これで天然資源を減らすことなく持続可能なマグロ養殖へ大きく舵が切られたのです。


愛媛県農林水産部ホームページ
クロマグロ | FISHERIES KINGDOM EHIME

「養殖マグロがうまぃ!」

近年クロマグロの養殖が盛んになり、私たちの食卓にずいぶん身近な存在になりました。エサや養殖環境を改良するなど技術の向上により、おいしいクロマグロを手ごろな価格で食べることができる素晴らしい時代になりました。
クロマグロの養殖風景(金子産業)
回遊するクロマグロ(金子産業)
マグロの刺身(金子産業)

「天然クロマグロも資源が回復基調」

天然クロマグロは過剰な漁獲から資源が減少し「赤いダイヤモンド」と呼ばれた時代がありました。漁獲規制を厳しくするなどの資源保護を進めることで現在は回復基調にあります。天然の魚は適切に資源管理をすれば、孫の代まで持続的に使用することができる優れた資源です。これからもおいしいマグロを食べ続けるため、資源の状態について私たち消費者も関心を持ちたいものです。

「マグロの珍しい部位~大切な資源、余すところなくいただきます~」